yuma9218

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将来という首輪をかけられた現代人

秋元はYouTubeを観ながらただぼんやり、ただただぼんやりと、何者かになりたいと思った。そう思い立っては絵を描き、文章を書いた。それを1ヶ月ほど続けた後、いつも同じ理由で諦めた。 その諦める理由とは、漠然とした将来への不安だった。小説が好...
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【短編小説】埋められない差があるんだ

「万引きしたことある?」僕が隣に座っている根本に訊いた。 根本はビールを一口飲み「ないよ」と言った。「でも、万引きを疑われたことはある」 「根本くんって、なに考えてるか分かんないから怪しまれそう」そう言って前に座っている西田さんが笑った。そ...
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【短編小説】花とハチのような恋

「ショートカットキーを使いこなせる男性どう?」執筆作業を進めながら僕が奈々未に訊いた。「そのくらい出来て普通だよ」奈々未は苦笑いを浮かべて答えた。 僕は付き合ってもいないのに、元カノである奈々未の部屋にパソコンを持って転がり込んでいた。理由...
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【短編小説】幸せを噛みしめる

その子を見た瞬間、可愛いとは思わなかったが、愛嬌の良さは人一倍あるように感じた。見たのはほんの一瞬である。上司と僕が魚を捌いている部屋に入ってきて「おはようございま~す」と挨拶して走り去っていった。その子は新入社員だった。 帽子とマスクをし...
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ライブ終わりのバー

ライブ終わりの僕たち4人は「ピンキー」というバーで反省会をするのが日課になっていた。僕と筒香と田中はウィスキーのロックを頼み、石川はカクテルを頼んでいた。石川はギター担当ということもあり、見た目が派手なものを好むところがあった。 僕たちは高...
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【短編小説】人生の落とし穴

滝本は社会に出るタイミングを見失っていた。20代半ばまでは料理人としてホテルやレストランで修行を積み、将来は地元に洋食レストランを開店することを夢見ていた。しかし多くの人間がどこかしらのタイミングで、人生の落とし穴というものにはまってしまう...
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【短編小説】女子とたこパ

萌里の部屋に入ると、女の子らしい柔らかい花の香りが鼻腔を刺激し、僕の胸を高鳴らせた。 萌里は大きめの真っ白なTシャツを着ていた。そのTシャツは萌里が履いているであろうショートパンツをすっぽり隠しており、そこから白くて健康そうな足がスラリと出...
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【短編小説】心のオン・オフ

「5+8は?」 「5+8は~」 まーた、頭の悪そうな俳優が私に絡んできた。嫌になる。なんて答えればいいのかな。即答したらいいのか、子役らしく悩むフリをしたらいいのか。私に与えられた解答時間をどうやって乗り越えたらいいんだろう。 とりあえず「...
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ある日のピロートーク

左足に痛みを感じ、病院で診てもらうと大腿骨壊死と診断された。どうやら股関節を支えている太ももの骨がなんらかの原因で脆くなり、壊死しまったようだ。壊死とはなんとも嫌な言葉である。 関西弁の三上先生によると、手術をして人工関節というものに変えな...
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【短編小説】仕事終わりの楽しみ

「お先に失礼しま~す」 いつもより仕事(料理人)が早く終わると、決まって行くのがパチンコだ。どこにもよらず真っ直ぐ家に帰れば、疲労した身体を銭湯で休ませることもできるし、ギャンブルでお金を溶かすこともないというのに。 多くの新入社員がそうで...