yuma9218

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短編小説:憧れとの決別

「ねぇ、裕太くん。なにかおもしろい話してよ」僕の胸に奈々未が鼻先を当てて言った。 「おもしろい話か・・・・。知的な話?それとも僕の体験談がいいかい?」 「なんでもいいよ。雰囲気を壊さないのがいいな」 「相変わらず難しいことを言うね」 雰囲気...
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【短編小説】センスを磨き続ける頑固おやじであれ

「ほとんどの男は自分のことを面白い人間だと思っているんだ」 「なんでなん?」広岡が目を丸くして言った。 「詳しくは分からないけど、人という生き物は客観的評価がない限り自信が増していくんだよ」 僕がそう言うと、広岡は右手に箸を持ちながら固まっ...
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【短編小説】根本という男

北陸のコンビニもないど田舎に根本という男がいた。夏は海水浴客で賑わい、冬は新鮮な海産物が味わえ、北陸の観光名所ともされている。そんな一見すると都会人がうらやましがるような地域で暮らしているのにも関わらず、根本は部屋にこもっていた。 部屋から...
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【短編小説】憂鬱はバスの中で・・

高校にバスで通学するとき、滝本はいつも憂鬱になっていた。しかし、これといった理由はない。授業もそこまで辛くないし、友達がいないわけでもない。なのになぜか、バスに乗ると憂鬱な気分になっていた。1年生の頃からそうだろうか。滝本は現在3年生だ。 ...
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【短編小説】朝のセックス

朝7時。目が覚めると昨日の昼から降り続いていた雨は止んでいた。そして車が水たまりを横切る音が聞こえてきた。日曜日の朝から車を動かすとは旅行だろうか。横で寝ている菜々緒に目をやると、枕に顔を埋めて熟睡しているようだった。 カーテンを開けると気...
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【短編小説】僕は正直に生きる

肌寒い風が気分を害さないほどの強さで吹いていた2月最後の日。僕は緑色のジャンバーに両手を突っ込み、バス停に向かっていた。バス停に向かうのはバスに乗るためではなく、バスから降りてくる奈々未を迎えに行くためだ。 奈々未とは高校時代に半年ほど付き...
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本は娯楽なのだろうか

なんの取り柄もない僕は、そのことに対してコンプレックスを抱いていた。運動神経は良くないし、見た目もそこまでは悪くないけど、良いとは絶対に言えない。このまま人生を終えていいのだろうかと、自問自答を繰り返す日々を送っていた。 答えはいつも『終え...
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失恋した私

2年付き合っていた彼氏と別れた私は枕に顔を埋めていた。どこか不器用なんだけど、その割にちょっとした気配りや料理ができたりで、私はそんな彼に惚れていた。 彼は想像力に長けているのか、話が面白かった。ちょっとしたどうでもいいような話題でも、すぐ...
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【短編小説】孤独と向き合う

「裕太くんちょっと雰囲気変わったよね」七瀬がお刺し身を口に運びながら言った。どうやらワサビはつけないらしい。 それにつられて僕もお刺し身に手を伸ばした。「そう?本を読むようになったからかな」 僕と七瀬は高校時代に1年ほど付き合っていた。僕は...
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【短編小説】先生から借りた歴史本

「なんで歴史の先生を目指したんですか」僕が先生に訊いた。 「うーん、歴史が一番得意だったからかな~」先生が言った。近くで先生の顔を見ると、口紅の色がピンクだった。そして、ほんのりとした花の香りが漂ってきた。 「はぁ、歴史が得意だなんて変わっ...