2024-03

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短編小説:来世

「古代のエジプト人はどんなに辛くても真面目に生きたのよ。なんでか分かる?」七瀬はそう言って飲んでいた紅茶を置いた。 「犯罪を起こせば罰せられるからじゃないか」 「それもあるかもしれないわ。他は?」 僕は少し悩んでから訊いた。「宗教的な何かか...
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短編小説:福神漬けよりウィンナー

僕は昨夜作ったカレーを温めながら、その横の火口でウィンナーを2本焼いた。僕はカレーを食べるとき必ずウィンナーを焼く。ウィンナーと福神漬けどちらかを選べと言われたら僕はウィンナーを選ぶだろう。そのくらいウィンナーが好きだった。 現に僕の冷蔵庫...
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短編小説:憧れとの決別

「ねぇ、裕太くん。なにかおもしろい話してよ」僕の胸に奈々未が鼻先を当てて言った。 「おもしろい話か・・・・。知的な話?それとも僕の体験談がいいかい?」 「なんでもいいよ。雰囲気を壊さないのがいいな」 「相変わらず難しいことを言うね」 雰囲気...
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【短編小説】センスを磨き続ける頑固おやじであれ

「ほとんどの男は自分のことを面白い人間だと思っているんだ」 「なんでなん?」広岡が目を丸くして言った。 「詳しくは分からないけど、人という生き物は客観的評価がない限り自信が増していくんだよ」 僕がそう言うと、広岡は右手に箸を持ちながら固まっ...
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【短編小説】根本という男

北陸のコンビニもないど田舎に根本という男がいた。夏は海水浴客で賑わい、冬は新鮮な海産物が味わえ、北陸の観光名所ともされている。そんな一見すると都会人がうらやましがるような地域で暮らしているのにも関わらず、根本は部屋にこもっていた。 部屋から...
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【短編小説】憂鬱はバスの中で・・

高校にバスで通学するとき、滝本はいつも憂鬱になっていた。しかし、これといった理由はない。授業もそこまで辛くないし、友達がいないわけでもない。なのになぜか、バスに乗ると憂鬱な気分になっていた。1年生の頃からそうだろうか。滝本は現在3年生だ。 ...
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【短編小説】朝のセックス

朝7時。目が覚めると昨日の昼から降り続いていた雨は止んでいた。そして車が水たまりを横切る音が聞こえてきた。日曜日の朝から車を動かすとは旅行だろうか。横で寝ている菜々緒に目をやると、枕に顔を埋めて熟睡しているようだった。 カーテンを開けると気...