朝7時。目が覚めると昨日の昼から降り続いていた雨は止んでいた。そして車が水たまりを横切る音が聞こえてきた。日曜日の朝から車を動かすとは旅行だろうか。横で寝ている菜々緒に目をやると、枕に顔を埋めて熟睡しているようだった。
カーテンを開けると気持ちの良い青空が広がっていた。太陽の光がくすんだ僕を照らした。僕は可能な限り両腕を伸ばし、魂が抜けるくらいの大あくびをした。脳がわずかにスッキリしたような気がする。今日はいい1日になりそうだと思った。
顔を洗い、歯磨きをすましたら、菜々緒に毎朝飲めと言われている白湯を飲んだ。多くの男性がそうであるように、僕は白湯が苦手だった。人間は慣れる生き物だから問題ないと思っていたが、慣れる気配は一向になかった。
白湯をいつもより少なめに入れ、ぐいっと飲んでからコーヒーを淹れた。一口飲むと、コーヒーの苦味がぼやけた脳に染み渡る。コーヒーといい、太陽といい、毎朝ありがとうございます。
菜々緒を見ると先程の態勢から変わっており、掛け布団から細い足がスラリと出でいた。「お~い」と呼んでみると、彼女はうめき声のようなものを上げた。どうやらまだ、現実と夢の間を行き来しているようだ。
今日は1日中、東京を散策すると彼女が言っていたのだが、この感じだといつも通りの休日のように11時くらいに起きる気がした。「8時なるよ~」と言ってみると、菜々緒は「知ってる」と答えた。
起きる気配がないので、僕は部屋を掃除することにした。とは言ってもそこまで散らかってない。本棚を整理したり、うっすらホコリが溜まっているところをよく絞った雑巾で拭いた。
ゴミ箱を見ると、昨夜使用したコンドームがしぼんだ風船のように横たわっていた。中に入っている精子は僕のものなのだが、なぜか嫌悪感を感じ、ゴミ箱の奥底に押し込んだ。
多くのカップルがそうであるように、彼女とのセックスはマンネリ化していた。変化を出したいと思いながら、いつも通りの前戯をして、10分も経たないうちに挿入した。そしていつもと同じ体位で尽き果てた。僕たちのセックスはまるで効率を追求したIT企業のようになっていた。
思い切って野外でやってみようか。そう思うと股間が少し反応した。まだ朝なので時間を優雅に使える。僕はいつもの効率的で作業のようなセックスをやめ、遊び心に満ちたセックスをすることにした。夜とは違い、朝は創造性に溢れているような気がした。
僕は菜々緒のいるベットに入り「朝だよ」とささやき、キスをした。寝起きなのにも関わらず、彼女の舌は蛇のようにうねうねと動いた。
はて、ここからどうしたものか。いつもならここで胸を触るのだが。そう思いつつ、僕はいつものように菜々緒の胸に手を伸ばしてしまった。いけない。僕は彼女と舌を絡ませながら、胸をやさしく揉み、今回のセックスについて考えた。
とりあえず時間をかけて、ゆったりとしたセックスをすることにした。休日の朝なんだ。1時間以上かけても問題ないだろう。焦らして焦らして、菜々緒が我慢できなくなるところまで、僕は乳首と膣を触らないことにした。僕は揉んでいる手を胸から離し、背中に回した。肌がサラサラしていて心が安らいだ。
僕はとりあえず、菜々緒の背中を存分に味わうことにした。いつもは背中を抱き寄せるためだけに触れていたが、今回は肌や筋肉、骨盤周りの脂肪を確かめるように優しく愛撫した。たまにお尻の割れ目に人差し指を添わせると、菜々緒はお尻をピクリとさせて感じているようだった。そのままパンツの中に手を入れたくなったが、グッと堪えた。
これを開発というのかな?中学生の頃からアダルト動画を観ておきながら、実際に試したことは一度もなかった。いつもは性欲に任せてセックスをしていたのだが、今回の僕はセックスというよりもマッサージをしているに近かった。とはいってもまだ背中しか触っていないのだが。何分ぐらい経っただろう。僕は前戯に40分かけることを予定していた。
僕は菜々緒とのキスをやめ、反転させて背中を舐めることにした。しかし、あまり唾液で汚したくなかったので、軽く触れるだけにした。菜々緒のうなじからはシャンプーの香りが漂ってきた。鼻を近づけるとシャンプーの香りの奥から、菜々緒本来の生温かい匂いが静かに身を潜めていた。この匂いに性欲が支配されそうになったが、僕は落ち着いてそれをいなした。
耳を舐めてみようか。僕は一度も菜々緒の耳を舐めたことがなかった。耳を舐められると物理的に快楽を味わえるのはもちろん、聴覚が快楽の一因になることを僕は風俗を通して知っていた。
菜々緒の耳を舐めると「あっ」という声と共に首を反らした。「気持ちいい?」と訊くと、消えそうな声で「うん」と答えた。思いっきり舐めたい気持ちもあったが、僕は控えめに舐めることにした。耳の小道に舌をそっと沿わせてあげると、菜々緒がムズムズと足を動かしているのが分かった。
よし次だ。とりあえず仰向けにしてからディープキスをした。相変わらずよく動く舌だと思った。Tシャツを脱がすと、形の良い見慣れた乳房が出てきた。乳首に引き込まれそうになったが、落ち着いてそれをいなした。
乳房の全体に満遍なくキスをし、もう片方を右手で優しく揉んだ。乳首には触れない。それを念頭に置いて、菜々緒のきれいな乳房を攻めた。
乳首の近くに唇が触れるだけで、菜々緒の身体に緊張が走るのが分かった。乳首を舐めてほしそうにモゾモゾとしている菜々緒の姿を見て、僕はいつも以上に興奮した。ただ、その興奮をそのまま表に出してはいけない。僕は菜々緒と自分の性欲を焦らすのに集中した。
僕は乳輪に沿って舌を動かしながら、このまま乳首を舐めるべきか、膣に向かうべきか悩んでいた。菜々緒の膣はどのくらい濡れているのだろう。そう思っていると僕の手が菜々緒の下腹あたりまで向かっていた。その流れに逆らわないで、僕はそのまま太ももや下腹を優しく愛撫した。
乳輪に沿って舌を這わせてやると、その都度菜々緒は何かを求めるかのように腰を動かした。菜々緒は乳首を舐めてほしそうに胸を張っていた。僕もそれに答えるかのように乳首に吸い寄せられるのだが、必死で理性を保った。少しでも気を抜くと吸いついてしまいそうだった。まるで綱渡りだ。気を抜くと一瞬で性欲の谷に落ちてしまう。
上半身はこのくらいにして、僕は下半身を攻めることにした。乳房から顔を離すと菜々緒の体全体から喪失感のようなものが伝わってきた。後で必ず舐めるから。という思いを伝えるため、ディープキスをした。菜々緒とキスをすると、その舌使いと吐息の荒さで、性欲が風船のようにパンパンに膨らんでいることを感じ取ることができた。
焦らせば焦らすほど、菜々緒は身体を反らしたり腰を捻った。次第にその動きは大きくなっているようだった。僕は知らないうちに、菜々緒の性欲を膨らませることに興奮を覚えていた。
首筋にキスをしながら菜々緒の腰あたりを愛撫した。内ももに手を入れると膣の方から生温かい何かを感じた。僕は吸い込まれるように菜々緒の膣をパンツ越しに触れた。菜々緒はその週間、熱い吐息を吐いた。しまったと思いながら、指の腹だけで筋をゆっくりとなぞった。
菜々緒の身体は足りていなかったものが満たされたかのように力が抜けた。激しかった舌の動きもゆったりに変わった。指の腹の感覚だけでパンツがぐっしょりと濡れているのが分かった。「気持ちいい?」と訊くと顔を反らして「うん」と答えた。
それを訊いて僕は、菜々緒の小ささ乳首に吸い付いた。「うっ」という声を上げ、菜々緒は胸を反らした。菜々緒が僕の頭を両手で抱えているのが分かった。僕は抱きしめられる形で菜々緒の硬くなった乳首を舌先で遊んだ。
僕はその勢いで菜々緒のパンツを脱がし、膣へと向かった。乳首を舐めているうちに焦らすことをすかっり忘れていたのだが、菜々緒の膣を見て思い出した。しかし焦らすことなどどうでも良くなり、飢えた野犬のようにクリトリスを舐めた。菜々緒は数秒で「ダメっ」と声を上げて、腰を痙攣させながらイッてしまった。
菜々緒の両足をグッと持ち上げ、お尻を反らして膣口に舌先を入れると愛液が音を立てた。
膣口を舐められても快楽を感じないだろう、と思っていた時期もあったが、風俗嬢にアナルを責められてから考え方が変わっていた。やはりなんでも体験しないと何も見えてこない。
そうこう考えていると、また焦らしたい欲が湧いてきた。もう一度、菜々緒の性欲をパンパンに膨らんだ風船のように膨らませたくなったのだ。膣も全体的に舐めてしまったので僕は指を使って焦らすことにした。
菜々緒の膣口に指を当て、円を描くようにゆっくりと動かした。僕はもう片方の手で乳首をいじってやった。菜々緒の顔は快楽の海をぷかぷかと浮いているようだった。
僕は指を1cmだけ入れて、ベースを弾くように細かく動かした。それと同時に菜々緒の身体は緊張状態に入ったのが分かった。身体に力が入り、息づかいが荒くなり性欲の風船がどんどん膨らんでいくようだった。
指先を動かすにつれ、くちゅくちゅといういやらしい音が大きくなっていく。動かし方を変えようと思い、僕は指先1cmを膣から出し入れすることにした。1cmほど入れては出してをゆっくりと繰り返すと、菜々緒は入れてと言わんばかりに、僕の腕を強く握った。
「入れてほしいのかい?」と訊くと、菜々緒はコクリと頭を動かした。それでも僕は指を入れないことを選択した。1cmだけ入れては出してを繰り返し、菜々緒の様子を上から眺めた。彼女の引き締まった健康的な肉体は、何かを求めるかのように腰を反らしたり腕を動かしていた。
そんな彼女の性欲を少しでも満たせてあげるため、彼女の乳首を舌先で舐めた。乳首に舌を当てると、菜々緒がむず痒そうに身体を動かしているのが分かった。性欲を満たすどころか、さらに性欲の風船を膨らましてしまったかもしれない。僕は乳首から顔を離し、菜々緒の両足を広げた。
それから、ゆっくりと人差し指すべてを膣の中に挿入した。菜々緒は「うっ」と声を上げ、身体全体を反らした。そのまま指を大きくゆっくりと動かして上げると菜々緒は「出るっ」と言って身体をこわばらせた。「出していいよ」と言いながら指を動かした。焦らずそのままのスピードで。
「だめっ」と言って、菜々緒は徐々に腰を反らしていった。やがて膣から、いままで溜め込んでいた性欲が潮となって吹き出た。出し切ると彼女は、腰や太ももを痙攣させて尽き果てていた。
その後、僕たちはいつもの体位でフィニッシュを迎えた。僕自身も性欲を焦らしていたので、いつもより射精するのが早かったが菜々緒は満足そうな顔をしていた。それから1時間ほどベットの上でまどろんで、僕たちはダラダラとデートの準備をした。
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